*定年おじさんの遍路雑感 癒しの風景を探して (15日目)
朝から小雨が降り出して、昨日、部屋のエヤコンで乾かしたばかりのスポ−ツシ ュ−ズが、又、濡れてしまいます。歩き遍路用のガイドブックには、防水型の軽登山靴 を薦めてありますが、自転車遍路には、それも大袈裟だろうと、おじさんは、普 通タイプのスポ−ツシュ−ズ(中敷の取り外し出来るもの)に、凹凸のついたビニ−ル製 の底敷きを入れました。こうしておけば、雨が入っても足の裏はそれ程ビショ ビショ感に悩まされることも無いだろうと考えたからです。しかし防水タイ プとは違います。靴に雨が染み込んでくる感じは、気持ち良くありません。半 ば成功、半ば失敗というところです。気持ちはちょっと重いスタ−トです。 今日は、このまま降り続く雨の中での横峰寺打ちとなるのでしょうか。少しずつ 坂道となり、石槌山の麓に入ったのが分ります。道沿いの民家の庭先に咲くボケ、 サクラ、アセビ、レンギョの花が雨に濡れています。坂道は続きますが、自転車 を押して上らなければならないほどではありません。このままの状態で、登山口 まで行けると良いのですが、、、。30分漕ぎ続けても、登山口は見えてきません。 自転車を押して歩くよりましですが、坂道での自転車は、、、まして雨降りは、 それは大変、、、。分っていても、ついつい弱音が出てきます。 そうだ、気持ちだけでも切り替えてみよう。雨降りの山道は、、、「太陽に照り付けられて、 汗だくになるよりはいいではないか。雨に濡れたサクラの花も偶には風情があ ってよろしい。雨に濡れた山里の風景は、しっとりしていてかえって良い。」等々、 無理やり良い方に考えながら、登山口までやっとの思いでたどり着きました。 2002.3.22 60番札所 横峰寺仁王門 おじさんは、そのうちの1本を有り難く借りることにしました。雨で滑り易い山 道の上り下りの歩きにも、この1本で安心感が違います。歩き遍路にとって、 金剛杖の有難さは格別でしょう。道中、大切に扱い、宿では床の間に置くと聞き ますが、その気持ちは良く分りました。お参りを終え、登山口まで下りた時、 杖についた泥を払い、元の位置に返しました。お世話になったその杖に対し、感 謝の気持ちで思わず合掌です。 今日の11号線は交通量多く、雨で見通しも悪く最悪でした。右手に何時までも続く 低い山並みも、切れ目の無い車の列に遮られてまともに見ることが出来ません。 トラックの轟音と水しぶきを避けながらの走行は、命がけの修行(?)です。 お大師さんは、この光景を見てなんと言われるでしょう。宿に着く頃、やっと雨も上がりま した。
|