*定年おじさんの遍路雑感
癒しの風景を探して
(13日目)
13.
中だるみの
戒め
2002.5.23第20回更新
宿のすぐ前にある46番浄瑠璃寺へ、朝早く出かけてみました。お寺の朝は静か
です。仏花の準備をしているお坊さんに挨拶して境内を歩い
ていると、大きな木の梢の方から「コツコツコツ」という音が聞えてきます。何の音だろう
と見上げていると、お坊さんが「キツツキですよ」と教えてくれました。静で
心安らぐ札所です。ゆっくりと時間を掛けてお参りしました。
2002.3.20 白木蓮と長珍屋旅館
(46番札所 浄瑠璃寺すぐ前)
2002.3.20 桜と鳥居と定年おじさん
(50番札所 繁多寺)
51番への道を聞いたおばさんは、「真直ぐ突き当たりです。良い日においでです
ね、毎月20日はお寺のお祭りで賑わっていますよ」と。確かにお寺の境内は、屋台店も
出て善男善女で大賑わいです。おじさんも人並みにもまれながら、本堂、大師堂
とお参りし、仁王門近くまで来た時、お萩やお茶のお接待をしてる町の人達に呼
び止められました。皆さん嬉しそうにお接待を受けています。おじさんも腰を
下ろしてお接待をいただくことにしました。テ−ブルの上にユニセフ募金箱が置い
てありました。良い日にお参り出来たことに感謝して、その箱に100円玉を入れました。
お萩を食べながら、隣にいた土地のおばあさんと話が弾み、昔のお遍路の話な
ど30分以上も話し込んでしまいました。話し終わって、おばあさんは「どっこいし
ょ」と言って立ち上がり、おじさんも同時に腰を上げ、石手寺を後にしました。
2002.3.20 51番札所 石手寺 仁王門
51番石手寺から52番太山寺までは、松山の町の中を通ります。ところが、この道
筋は道路工事の真っ最中。おまけに道後温泉祭りとも重なって、車は大渋滞と、
最悪の道路状況に出っくわしました。道に迷い、何人の人に道を尋ねたことで
しょう。出会い頭の交通ヒヤリにも合いました。大回りして、坂道を上り下り
してやっとのおもいで52番・53番に到着しました。
2002.3.20 52番札所 太山寺仁王門
53番円明寺の納経所で、寺号を書き終わった和尚さんが、「51番は、何時お参りにな
りますか」と訊いてくれました。掛け軸を見ると、51番石手寺の所が真っ白です。そ
う言われて気がついた瞬間、頭の中も真っ白になりました。そうです、石手寺
でお接待をいただきながら地元のおばあさんと話し込み、納経所へ寄るのを
忘れて来てしまったのです。おまけに道に迷い、車にぶつかりそうになり、や
っと此処まで辿りついたのです。和尚さん有難う御座いました。
それにしても、こんなポカミスをどうして起こしたのでしょう。思い返せば、遍路初日は
両足が動かなくなり、2日目は腕、肩が痛くなり、室戸、足摺岬では尻、腰が
痺れ、身体全体にダメ−ジが行き渡りました。此処1日2日で、ようやく遍路用に
身体が慣れてきたところです。気持ちの上でも遍路要領が分りかけ、ちょっと
した油断がありました。
お大師さんはシビャです。おじさんの慣れと油断を見逃しませんでした。早速
10kmの道のりを往復です。おじさんは51番に向かって引き返しながら、自分
自身に腹を立てています。しかし走りながら考えました。このまま、遍路後半を、
慣れと油断で続けるなら、修行として得るものはなにもない、交通事故でも起こ
したら、本人はもとより相手にも迷惑を掛けてしまいます。この辺で「身も心も
シャンとせよ」との天の配剤、お大師さんからの「中だるみの戒め」と考える
ことにしました。初日、霊山寺の仁王門を潜る時の緊張感を思い出しました。
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