*定年おじさんの遍路雑感 癒しの風景を探して (6日目)
今朝、御蔵堂へお参りし、岩屋の中を覗いてみました。1200年前も今と変らない 状態だったのでしょう。このさほど広くない岩の洞に座って、修行中明の星を いただかれたお大師さんとは一体どんな巨人だったのか、、、。凡人では計り 知れませんが、1200年後の今でも人々はこうして遍路に向かいます。その 影響力に改めて驚きます。 2002.3.13 お大師さん修行の石洞 金剛頂寺から神峯寺までの海岸道路は、右手に緑の山麓が続き、その斜面に紙 袋を被せた枇杷の栽培林が広がり一面白い花を咲かせたようです。緑と白の コントラストが絶妙です。 左手は昨日と同じく雄大な海が続きます。南に下るに従い、海の色がより深い紺 色に見えるのは気のせいでしょうか。 特に神峯寺から大日寺までは、波飛沫を浴びるほどの位置にサイクリング道路が あり、後にも先にも誰一人いない海岸道路を何処までも走っていると、体が海の 紺色に染まってしまうような錯覚を覚えます。 沖に鯨が出てきて潮を吹いてもおかしくないような雄大さです。大き過ぎてカメラのフ ァインダ‐に納まりきらない風景です。 海岸から暫らく入った神峯寺は、かなりの坂道を登る山の上にあり、自転車を降 りて引いて歩く場面もありました。境内の長い石段の両側は、綺麗に刈り込まれ た植木と苔むした庭石を配した広い庭園となっています。70歳を過ぎたかと 思われるお遍路が、ゆっくりとした足取りでこの長い階段を登っていきます。 自転車を置いたおじさんもこの階段を登っていきます。足早に登っては休み、 歩いては休むおじさんに比べ、前を行くお遍路の歩きはけっして早くはないが、休 むことなく1歩1歩着実に登って行きます。これがベテラン遍路の歩きでしょ う。本堂の前で読経をするその人の後姿は、真剣そのもので近寄りがたいもので した。おじさん遍路も何時になく神妙にお参りしました。 2002.3.13 27番札所神峯寺 仁王門
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